2013年6月20日木曜日


靍 日出郎(TSURU Hiderou
教員のプロフィール
担当科目 :基礎簿記,工業簿記,原価計算論 
最終学歴 :明治大学大学院商学研究科 博士課程単位取得退学 商学修士 会計学

 むずかしい名前ですが,「ツルヒデロウ」といいます。北海道士別市で生まれました。今でも川 といえば天塩川がすぐ浮かびます。中学まで士別で過ごし,高校は函館,大学と大学院は商学部で 学び東京で過ごしました。大学院を満期退学後,本学経営学部経営学科に赴任しました。東京では 板橋区の常盤台に住んでいました。通学に利用していた東武東上線と地下鉄丸ノ内線のラッシュ時の混みようは今でも忘れません。また,当時,通っていた銭湯には背中一面に桜吹雪や登り龍など の刺青を入れた方が多く入浴しており,洗い場では隣の刺青の方にシャボン(石鹸の泡)が飛ばない よういつも気をつけていました。
 1990年から1991年にかけて,旧西ドイツのルール工業地帯のど真ん中の工業都市ボッフム市 にある,ルール大学(RUHR-UNIVERSITAET BOCHUM)経済学部応用経営経済学講座に留学 し,ドイツ経営学の巨星であるディーター・シュナイダー(Dieter Schneider)教授の指導を受けま した。留学中の 1991103日にドイツ統一が行われました。当日は統一の日,“Der Tag der deutschen Einheit” として祝日となり,全国一斉に祝賀行事が繰り広げられ,街中に “Wir sind ein Volk”(我々は 1 つの国民であると直訳されますが,ドイツは 1 つというニュアンスです。)というスローガンがあふれていました。東西ドイツの統一を目の当たりにできたことは幸運だと思います。
 社会貢献ということでもないのですが,2005年から2010年まで市内の某札幌市立高校の評議員 を務めました。この間,高校の運営会議への参加や教育現場の視察を通して,校長先生や進路指導 部および生活指導部の先生方と意見交換をして,高校生や高等学校の抱える問題について多くのこ とを学びました。また,2007年から2013年までは,道内のある公的機関に関係する委員会の学識 経験者委員を拝命して,特別職非常勤地方公務員という身分の下に,委員会活動に参加しておりま す。職務上の秘密保持義務が厳しく他言できないのですが,北海道民の人権等の維持にいくばくか の貢献ができているのではないかと思っております。


✿ 専門ゼミナール
2 年次秋学期の専門ゼミナールでは,「キャッシュフロー計算書を学ぶ」というテーマの下に キャッシュフロー計算書について勉強しています。キャッシュフロー計算書は損益計算書,貸借対照表と並んで第3の財務諸表といわれています。国際会計基準(IFRS)で上場企業に作成が義務づけられたこともあり,日本でも2000年度の決算から,上場企業と上場予定企業に作成し公表する ことが義務づけられています。現在,倒産する企業の3割から4割近くが「黒字倒産」です。損益 計算書や貸借対照表では利益を計上し,黒字決算なのに倒産する企業がとても多いのです。キャッシュフロー計算書を作成し,読み解くことによって「黒字倒産」のメカニズムを理解することがで きます。ただ,損益計算書や貸借対照表と違って,キャッシュフロー計算書は簿記から自動的に作成することができません。2年次の秋から3年次の春にかけては,このキャッシュフロー計算書に ついて,なぜ必要とされるのかその内容はどういうものなのかなどについて理解を深め,自ら作成できるように勉強します。

3 年次の初夏までにキャッシュフロー計算書の勉強が終わった後は,ABC(Activity-based- costing;活動基準原価計算。通常,ABCと略称します。この ABC という原価計算の考え方は,日本の 中小企業庁も推奨し,同庁のホーム頁に一例がありますのでご覧ください。)といわれる原価計算について 勉強します。ABC1980年代後半にアメリカで提案された原価計算のやり方です。1980年頃からアメリカには大量の日本車が入り,製造業が不振になりました。80年代前半には首都ワシント ンなどで日本車の焼き討ちも起こりました。この頃,アメリカでは製造業に関わる反省や問題点が考察されました。当時のアメリカでは,製造間接費の配賦は直接労務費法が多く使われていたのですが,そのやり方は本当に適切なのか,それは正確な製品原価を計算しているのかという問題提起 がなされました。ABCはこれらの疑問に対する会計サイドからの 1 つの解決策として提案されました。3年次のゼミナールでは,2 年次の勉強が終わり次第,このABCについて勉強します。

4 年次のゼミナールでは,現在,世界中で議論が行われている国際会計基準(IFRS)について勉強します。会計のルールを世界的に統一しようとする議論が始まってからおおよそ半世紀がたち,だ いぶ議論が進んでいます。現在,国際会計基準(IFRS)を全面的に導入している国は100ヵ国を超えています。日本やアメリカは2013年度中に採用するか否かについて態度を表明することになっています。企業活動が国境を越え,資本調達が 1 国のみならず世界中で行われる傾向にある現在, 自国の会計ルールのみにしたがった財務諸表では,世界中に広がる投資家に対する情報提供には一定の限界・制約がでてきます。4年次のゼミナールでは国際会計基準について勉強するとともに, ゼミ論の作成を指導します。

✿ 学生の皆さんへ
私は財務会計,管理会計を問わず,会計ってなんなのかという問題意識を大切にしたいと考えて います。専門ゼミナールでは簿記が苦手な方でも歓迎します。会計関係に少しでも興味のある方, 大いに議論し,一緒に勉強しましょう。 

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